塗装?張替?サイディング劣化に適したメンテナンス方法
そもそもサイディングとは?
現在、多くの住宅の外壁材として使用されているサイディングは、1990年ごろから広く利用さています。
それまでは、モルタル壁と呼ばれるセメント・水・砂を原料とする粘土のような素材が多く外壁に用いられていました。
サイディングが広まった理由はいろいろ考えられますが、
・地震に比較的強い
・施工しやすい
・比較的安価
・熟練の職人を必要としない
・住宅の洋風化
などがあげられます。
当社でも外壁のリフォームをお考えのお客様の多くは、サイディングを外壁に用いたお住まいです。
残念ながら外壁サイディングも年数を経過すると劣化が起こり、本来の性能を十分に発揮できないようになります。
サイディング自体の劣化に加え「縦のシーリングが割れた・剥がれた」といったシーリング(コーキング)に関するご相談も多数いただきます。
シーリングの補修は原則必ず実施いたしますが、外壁のサイディングの補修・メンテナンスには大別して
・塗装リフォーム
・張替リフォーム
・重張リフォーム(カバー工法)
に分けられます。
外壁サイディングの状態(現地調査で確認)や、お住まいの環境、建築年数、前回のメンテナンス状況等でどの補修・メンテナンスの方法が適しているかは異なります。
比較的手軽な「塗装リフォーム」から、既存の外壁サイディングをすべて撤去してから張り替える「張替リフォーム」まで、その特徴とメリット・デメリットを以下にご紹介いたします。
サイディングのリフォーム
シーリングの劣化・補修
1990年頃から前(昭和の時代)に多く用いられていたモルタル壁は、職人がコテで仕上げるため、継ぎ目はありませんでした。
反面、サイディングは板状のパネルを外壁に張り付けていく方法の為、特に縦方向の継ぎ目にシーリング(コーキング)と呼ばれる防水のための樹脂または合成ゴムのペーストを充填します。
このシーリング(コーキング)は、お住まいの環境にもよりますが、劣化の早い場合は、5年ほどで劣化し、割れや剥がれが起こり、漏水の原因となる場合もあります。
外壁サイディングの張替リフォーム、重ね張りリフォームは当然新しいシーリングを施工しますが、塗装リフォームの場合も、古いシーリングは撤去し、新しく施工いたします。
お客様に「自分でシーリングできますか?」とお尋ねいただくこともございますが、窓枠やベランダなど小規模なシーリングであれば、ご自身でDIY(Do It Yourself)していただくことも可能です。
ただ、サイディングの場合は素材によって適切なプライマー(シーリング剤を接着するもの)やシーリング剤の選択が非常に重要ですので、大規模な補修は専門の業者にお任せしたほうが安心です。
塗装リフォーム
既存の外壁サイディングを高圧洗浄等で洗浄後、塗料(多様な種類があります)で塗装することで、防水や遮熱の効果を高める補修方法です。 サイディングの張替は行わないため、最も安価かつ短い工期で可能なメンテナンス方法で、10年ほどのサイクルを目安に実施いただいております。
特に新築から10年程度経過の初めての外壁のメンテナンスは、塗装リフォームをおすすめしております。
最近は、多彩模様塗料と呼ばれる単色仕上げではない、デザイン性の高い塗料も開発されており、ベタっとした単色の仕上がりを好まれないお客様に好評です。
張り替えリフォーム
築年数が30年以上経過している場合など、サイディング自体に大きな劣化や破損・割れが見られる場合はサイデイング自体をすべて撤去し張り替える「張り替えリフォーム」が適しています。
サイデイング自体も高性能かつ軽量化していますので、建物の躯体に与える負担も軽減し、今後長くお住まいを考えていらっしゃるお客様におすすめしております。
ただし、材料費や長い工期もあり、費用は高めの補修方法です。
重張リフォーム(カバー工法)
塗装リフォームでは、大きな補修効果が見込めない場合(サイデイング自体の劣化が酷い)、既存のサイディングの上から新しいサイディングを重ねて張る「重ね張りリフォーム(カバー工法)」もご提案しています。
メリットは、「張り替えリフォーム」ほど費用がかからない、工期が短い点があげられ、デメリットは重ねて二重に張ることになりますので、どうしても外壁自体の重量が上がり、建物への負担が増えてしまいます。
ただし、金属製や樹脂製の軽量なサイディングも普及しており、重量の問題はある程度回避できるようになっています。
塩害に強い外壁はフッ素・樹脂サイディング
静岡県は海岸線に面した地形で、全国でも特に塩害が多い地域です。
海岸線から5km程度の距離まで塩害の発生する可能性があります。最近の大型の台風で潮が風に乗ってかなり北側まで入り込み、塩害が起こったことも記憶に新しい出来事です。
当社では塩害の恐れのある地域での金属系の外壁材は基本的におすすめしておりません。
また、現在最も普及している窯業系サイディングも、主原料のセメントが塩分で劣化するため、特に海岸線に近い地域での利用は注意が必要です。
※金属系・窯業系サイディングでも塩害に対して適切なコーティング(フッ素)を施したものもあります。
塩害に最も適したサイディングは、樹脂製のサイディングといえます。
樹脂製のサイディングは北米で非常によく利用される素材で、重量が軽く、安価、耐久性も高いとメリットが大きい素材です。
デメリットはやはり質感(デザイン)があまり好まれないという点です。
当社でも近年樹脂製のサイディングを施工させていただく機会も少しずつ増えており、今後普及していく可能性を感じています。